米国ハイパーグロース株銘柄の紹介

パランティア(Palantir )はFBIやCIAも採用しているサイバーテロ防止企業で今後はサイバー戦争の主役となる防衛企業

松田遼司の次世代のテンバガー候補紹介「パランティア(Palantir) 

ABSメルマガ執筆時 2023年4月13日株価8.6ドル

コラム掲載時 2024年3月25日株価24.2ドル

株価上昇率: +280%

今回はパランティア・テクノロジーズ(Palantir Technologies)について、将来の起業家・米国ハイパーグロース株投資家であるみなさんと共に、見ていきましょう。

パランティア・テクノロジーズ(Palantir Technologies)の資金調達の経緯

パランティア・テクノロジーズ(Palantir Technologies)社は、米国ではPaypalマフィアのドンとして知られ、SVBからの資金引き上げ提言で日本でも注目された著名投資家ティール氏らが2003年設立したサイバーテロ防止、ビッグデータ解析企業です。軍事費の増大やサイバー戦争の拡大で将来性が期待できます。ラッセル1000採用銘柄です。AI銘柄としても注目されています。現在の本社はコロラド州デンバーです。

 

当初はVCから約2.5億円しか調達できず、ティール氏自身が約40億円を出資するなど苦労したようです。

 

2013年にようやく約250億円、さらに約600億円を集め、資産価値が約1.2兆円となりました。当時は政府との取引が多いため株式公開はしないと発言していました。2014年にはさらに約500億円、2015年には650億円、続いて約1150億円を調達、市長価値は2.6兆円となるなどさらなる成長を遂げます。

 

2018年にはモルガンスタンレーが資産価値を約8兆円とし、非上場株としては破格の規模となりました。2020年9月にニューヨーク証券取引所に上場、ティッカーシンボルはPLTRです。

 

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パランティア・テクノロジーズ(Palantir Technologies)の概要と沿革

パランティア・テクノロジーズ(Palantir Technologies)は、2003にカリフォルニア州パロアルトで創立されました。トルーキンの映画化されて大ヒットしたファンタジー「ロード・オブ・ザ・リング」に登場するお互いに通信でき、背景を見ることができる水晶体から名付けられました。

 

AIだけではサイバーアタックに対抗できないという思想から、現在流行しているAIではなく、人間による解析を提唱しています。

 

2004年にPayaPalの詐欺認識システムを基に、PayPalのエンジニアやスタンフォードの学生により試作品を完成させます。

 

ところで、筆者がSRIと共同で運営していたプロジェクトにもスタンフォード大学の大学院生が在籍していました。日本の大学生のインターンのような夏休みだけでなく、大学院に在籍しながら企業で経験を積むわけです。そこで得た経験と人脈を元に卒業後はITやヘルスケアなど自身の専門分野のスタートアップに就職するのがシリコン・バレーの就活パターンです。日本もこのような産学協同システムの強化が必要なのではないでしょうか?

 

話を戻しますと、その後3年間に渡り諜報機関のコンピュータサイエンティストやアナリストにより技術開発を進めていきます。最初の顧客は米国諜報機関であり、その後連邦や地方政府を経て民間に拡大していきました。このシリーズに何度も登場しているDARPAからの援助で成長していった企業と似た環境にあるといえるでしょう。

 

2009年から10年にはカナダの諜報機関が、NATOなど100カ国以上の機関に対して実施された中国製のサイバーアタックの発見に使用しました。

 

また、同社製品の「Metropolis」が大手投資銀行JPモルガンにインサイダー情報漏洩の監視に使われました。

 

2010年にはロイターニュースと提携し「Metropolis」が定量分析ツールとして使用されることが決定しました。当時のバイデン副大統領にも同社のソフトウェアが詐欺行為を防止していると称賛され、注目されました。

 

その後はメディケアなどの健康保険システムを手始めに、その用途が拡大していき、2011年の売上は約330億円となります。

 

2013年にはFBIやCIAなどの諜報機関で使用され、データベースがパランティア・テクノロジーズ(Palantir Technologies)のものに統一されました。その後、空軍、海軍、陸軍士官学校など13の政府機関(陸軍のみは独自ステム)が使用するようになりました。システムの変更が容易でないのはみずほ銀行の例などで、将来の起業家のみなさまにも明らかでしょう。安定収入が約束されたこととなります。

 

2016年には民間向けの「Foundry」というデータ収集・統合システムをローンチしました。顔認識のために、KimonoLabsとSilk社を買収しました。

 

2017年には「Gotham」システムという「バットマン」シリーズに登場する悪がのさばる架空都市からネーミングした犯罪防止解析製品をローンチします。高犯罪率の地域を赤く表示する製品をデンマーク警察のために開発しました。ドイツ警察でも使用されています。ノルウェー税関では人と車の監視に使用されています。

 

2019年にはGoogleの親会社のアルファベットから偵察や爆撃用無人ドローン・プロジェクトを譲渡されます。SOMPOホールディングスと提携、日本オフィスを開設しました。

 

2020年には新型コロナウイルスのために英国NHSと協力した4つのIT企業の1つに選ばれます。「Foundry」が感染者を追跡し、把握しました。「Tiberius」はワクチン分配状況を追跡把握しました。米国FDAとも約60億円の契約を締結し、市場シェアは20%だったようです。

 

ランティア・テクノロジーズ(Palantir Technologies)の商品

パランティア・テクノロジーズ(Palantir Technologies)社の代表的な商品は、4つです。

 

上記の「Gotham」はテロ防止のための解析に米国諜報機関や防衛省や軍のオフィス、警察で使用されている政府向けソフトです。

アフガン戦争では爆弾の場所特定予知能力向上に使用されました。現在は犯罪予測システムとしても活用されています。カリフォルニア州では犯罪に使用された車両を特定するためのラインセンス・プレートのデータベース制作に、移民局の移民と不法移民のトラッキングシステム、イランの原子力活動の監視など多岐に渡っています。

 

米国の諜報活動を担っている国策会社と言えるのではないでしょうか?

 

「Foundry」は上述のようにNHSとの新型コロナ対策、ウクライナ難民への住宅地提供プログラムとして英国で使用されました。

メルク、エアバス、フィアット、ロイターなどヘルスケア、航空、製造、マスコミなど様々の分野の民間企業で活用されています。クレジットカードの記録や旅客情報からの消費や属性分析、企業内のデジタル・トランスフォーメーションの推進などその利用の可能性はアイデアにより大きく広がるようです。IBMのクラウドシステムを活用できるようになり、エンジニアでなくてもデータを扱えるそうです。

 

「Apollo」は防衛省で使用されているOSで「Gotham」や「Foundry」をSaaSとして提供するそうです。詐欺防止に公的機関が使用します。

 

「Metropolis」は上記のように元々ファイナンス向け製品として開発されました。データ統合、情報マネジメント、定量分析が主要機能でした。

 

現在はEメール、ダウンロード、ブラウザ履歴、GPS情報から情報漏洩を監視する機能が追加されています。キーワードやフレーズ、使い方のパターンからの解析もできるようです。ヘッジファンドや銀行が主要顧客ですが、情報漏洩機能はどの業種でも必要でしょう。

 

パランティア・テクノロジーズ(Palantir Technologies)の問題点

同社のデータベースがアジア人を差別しているとして提訴されています。移民局との共同プロジェクトでも移民排斥に活用されているとの声もあるようです。

 

コロナの感染検知プログラムも多くの米国人のデータが収集され、他の政府機関に使用される危険性が指摘されています。

 

また、先日起こったペンタゴンからのウクライナ紛争に関する情報漏洩は同社のシステムがロシアに破られたと推測されます。個人データが他の政府機関どころか敵対国に流出する危険が提起されました。ロシアのサイバーテロ技術は世界でも有数なのは間違いないでしょう。

 

こうした危険はありますが、今後ますます重要な資産であるビッグデータの収集においてはトップクラスであり、政府との提携関係により経営は安定しています。黒字企業で、利上げによる破綻不安もありません。短期でも、中長期的にも注目すべき新興企業といえるのではないでしょうか?

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